ポーランドのピアニスト達(今度こそ編)

 

さて、腹も甘いものでいっぱいになった事だし(?)いよいよコンサートに出かけました。

今回コンサートは2カ所行きました。

一カ所は観光客相手のコンサートなので内容はどうかな?と思って出かけたのですが,一応奏者はクラコフ音大卒の人達です。

http://www.cracowconcerts.com/Chopin-concerts

ここのコンサートでは二人のクラコフ音大卒の人を聞きました。

内容は・・・実に驚きの内容でした!。

まず、一人目は例のクラコフ卒の日本人で、通常日本人の場合、私から言わせてもらえば,聞く前から予想していた通りの演奏というパターンがほとんどなのですが,この人に関しては全くその予想を裏切っていました。

大変繊細でかつ,よく歌っていて,品のいい演奏でした。

また,もう一人,これはポーランド生まれの卒業生でしたが,この人はかなり日本人奏者と違って,かなりパワフルで,豪快な演奏でしたが、それでもやはり歌う事を最も忘れていなかった演奏でした。

さて,この二人は音楽的には全く違った指向がありましたが、一方で共通しているものがありました。

正直、完成度は?と言う点では,日本人は良かったものの,ポーランド人はやや暗譜や仕上がり度においては?マーク山積でしたが(やっぱりポーランド人はいい加減だ!)

しかし、両者にあった共通点は・・・すなわち,「反則技」が多かった事です(笑)

反則技とは何か?

簡単に説明しましょう。ここで言う反則技は日本国内のみでのルールに反した内容です。

つまり,多分外国では別に反則というほどではないということです。

しかし、日本で育って海外に出た事のない人ならば、その日本で縛られているルールが当たり前になってしまって,よもや「反則技」を使おうなどという大それた事は考えつかないのです。

この点に私は早くから疑問を持っていました。

実は私は学生の頃から,海外の特に戦前のSP録音などのレコードを集めていた関係もあって,それらの演奏は「反則技」だらけでした(笑)

当然,日本人の先生達は「あのピアニスト達は反則だらけだから聞いてはいけない」となっていたのですが、私はその反則技にとてつもない魅力を感じ,なぜそういう演奏をしてはいけないのか?と疑問に思っていました。

そしてその疑問は「海外のピアニストは反則だらけで弾いているではないか?」という疑問でした。

ではその反則技とは・・・なんて言ったら良いんでしょうか?

そもそも一つの曲を弾く時には,血の通った人間だったら思わずやりたくなる演奏内容が,いわゆる”反則技”なのです。

たとえば、人間の脈が一定でない様に,テンポだって揺らぎがあるだろうし,今日と明日とでは気分も体調も違う様に,曲の解釈も時に以前と違うこともあるだろうし。

加えてそもそも演奏とは, 時には大きいうねりの気持ちの表現であって,試験やコンクールのような減点を食らわないための羽目を外さない、変化の乏しい均一な演奏ではないのです。

 

この二人はその曲の完成度はともかく、その人間らしい,フレキシブルな幅のある,どちらかといえばやっぱり,ポーランド的なゆったりとした時間の流れで、のんびり生活的(?)演奏スタイルが垣間見れました。

なんといったら良いのだろうか?

これはいっぺん日本を離れればわかる事なのですが,とにかくヨーロッパは習慣から,食べ物、考え方,人生観、エチケットから根本的に違います(事務のババーも日本の親切なおばさんとは大違い・笑)

そもそも私自身、日本の規則というものにも少々疑問があるのです。

日本では子供は一流大学に行く事がステイタスになっている。しかしそれは何も大学で学問を究めるのが目的ではなく,卒業後に一流会社に入るためであり、またそれがステイタスになっている。

一流会社に入ったら出世して高給取りになる事がステイタスになっている。

もちろん,それはそれで良いとは思います。そりゃあ私みたいに安月給よりかは絶対いい!(笑)

もし、ロケット開発、自動車開発に携わりたいとか、法律家を目指したいとか、そういうビジョンがあって大学を目指すのならともかく、どういうわけかとりあえず大学に行く、とりあえず上場企業に就職しとけば良い、という感じだし、そこに各個人”夢”があるとは私は思えない。

またこのご時世,就職難で現役生でないとまともな会社に就けないのですが,なぜ現役でないと致命的なのか私は理解できません。

人間なんだから卒業後に例えば海外青年協力隊に参加しても良いだろうし、ワーキングホリデービザで1〜2年海外で働いて海外見聞を広めても良いと思うのだ。

そうでなくても、なにも大卒でなくても良い。大工を目指すのでも良いし,歌舞伎役者を目指したいという人がいても良い。

大学って何? 会社って何? 夢って何? 人生って何?

日本だと,何かしがらみという規則があって、それに縛られながら大人になっていく若者が多い様な気がするのは私だけでしょうか?

クラシック音楽もそういうしがらみや規則があって、思った様に弾く事は”反則”であると・・・。

 

話を元に戻しましょう。

ここ、ポーランドは思いっきり時間がゆっくり流れていて,何一つ,日本みたいに粒が揃っていなくて整然としているものが少ないのです。要するに,理路整然としていない(笑)

それは時には交通関係などは旅行者をイライラさせることもありますが、そもそもそれが普通なんだと思えば,それほど怒る気にもならなくなります(ムカつく事務のババーは除く)

実はワルシャワからクラクフに列車で移動中の景色なのですが、これがかなり北海道の景色にそっくりだったのです。

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ポーランドは,平原がなだらかに続く陸地なのですが、同じく緯度もほぼ同じでやはり平原が続く北海道に風景がそっくりになったことは決して偶然の一致ではないと思います。

と同時に北海道の風土に似て、ゆったり,のんびり,せこせこせずに、大らかに時間が流れているあたりはポーランドも変わらない様でした。

そういうポーランドの土壌を音楽で表現したらどうなる?・・・という演奏に近かったと思います。

 

実は,この日本人の方に演奏終了後,個人的に大学の事も含めてお話しを伺ったのですが,私が「あなたの演奏スタイルを日本でやる勇気はありますか?」と聞いたところ「私は日本では,全く別な演奏をします」という返事が返ってきました。

そうなんです。日本では反則技は使ってはいけない。これが現実です。

 

さて,この後,今度はいよいよショパンの本拠地、ショパン生家で同じくポーランド人の演奏を聴きにいきました。

ワルシャワ近郊のショパン生家での演奏者はかなりレベルが高く,ショパコンなどで入賞経歴がある人ばかりのポーランド人の演奏が聴けます。

ここでもまた!驚愕する演奏が聴けたのでした。

詳細はまた後ほど。

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クラコフの演奏会場

 

 

 

2012.6.19

村田ピアノ音楽院

since1996

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