村田ピアノ音楽院

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時代は変わったのだろうか?・・・2

 

文化はけっして現在が最高水準であるということはけっしてない。

ひょっとしたら現在の文化は退廃しているのかもしれないのだ。

それは100年後の人達が判断する事なんだろうけれども、昔と比べたら失ってしまった文化もある。

ギリシャ文化などはこれまでの文化の中でも最高傑作だという人もいるくらいで,そういうことを考えると,過去にも優れた文化があったと考えるのはおかしい事じゃない。

さて,現在のクラシック界の位置づけですが,現在は「新即物主義」といわれている。

単純に,ありのままの姿、つまり楽譜に忠実に,作曲家の意図に忠実に演奏を行うという主義になっている。

これは一時代前の後期ロマン派時代の様に,勝手に楽譜の内容を変えて演奏したり,作曲家の意図を無視した演奏やアクロバット的な編曲をしたりという,時代の反省からきているのだけれども、その反面、 新即物主義のせいでクラシック音楽は時に誰が弾いても同じ「再現音楽」なんていう言い方をされる有様になっている。

最も厄介なのは、新即物主義は演奏家の個性は完全に除外される。つまり演奏家独自の解釈は御法度となっている。これを元にコンクールは成り立っていると思う。

もちろん,作曲家の意図は大事で,それを理解する事はとても重要です。

私は新即物主義の良い所は正にそれだと思うので決して否定はしない。

現在では原典版という本が多く出まわって作曲家の意図が尊重されるのは良い事ではあるが、その反面、私から見れば味気ない演奏が多い様な気がする。

ただ、新即物主義を私は完全に否定するわけにはいかない。何故なら・・・私はピアノ教師だからだ。

教師ならば,決して主観的な解釈を勧める事はやはり無理がある。

教師ならばいついかなるときでも客観性を持って現代の主張、主義に乗っ取って指導しなければならない。

これはしかたがないこと。

もちろん、その反動はある。事実,海外の指導や日本に来るロシア人の指導はそのすべてではないけれども新即物主義とはいいがたい内容だ。

いつでも「あなたはどう弾きたい?」「何を感じているのか?」「あなたの個性はなんですか?」と言われてしまう。

でもまあ・・・時代だからねえ(笑)

やはり時代に逆らう事は・・特に教師は・・・やっぱりまずいでしょう(笑)

時代の流れはすごくて、どの評論家も同じことを言っていたのだが「ホロビッツが死んでロマン主義は終わった」という人が多数いる。

これは私も同じ意見だ。多分ロマン主義の最後の生き残りだったに違いない。

なので,教師の私としては,どうしてもこれからは新即物主義的な指導をやはりしていかなければならないのではないかと思っている。

新即物主義に疑問を持つ生徒がいるのならば逸脱して指導はするかもしれないけれども,普段は新即物主義的指導にならざるを得ない。

また新即物主義は残念だけれども,フレージングやルバート、音色の指導もあまり突っ込んで深く出来ない。

あくまでも楽譜に書いてある事以上に勝手な解釈はやってはいけないからだ。

何も足さず,何も引かず,楽譜に書いてあるだけを忠実に・・・それが新即物主義。

・・・時代は変わったか・・・

ディズニーの水上ショーは、どうしてもその時代の変化と自分の対応の決心を迫ったとしか言いようがない(笑)

しかし・・・

残念だけれども、指導においては新即物主義でも,自分の演奏においてはそれは出来ない。

自分の心に嘘はつけない。

ここが玉の輿,もしくは逆玉に成りきろうとしても、成りきれない若者の心理だろうか(?)

だから自分の演奏にだけはなるべく正直に生きていくだろう。

ショパンがパリの社交場でおとなしくワルツを上品に弾いて貴婦人の視線を集める一方,彼が自宅に帰ると荒れ狂った様にピアノを弾いたという逸話の様に,私もピアノを弾くときは豹変するだろう(笑)

もしかすると自分の演奏と指導の内容とのギャップに気がつく人も出るかもしれないが・・・それはそれ。すべて時代の理由だ(笑・汗)

ディズニーシーの閉園が差し迫る時間の中の帰り際,何か教室に飾るものでも買って帰ろうかと思ったのだが,ふと目についたのが

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ダフィーだった。

ちょっと高いなあ・・・と思ったのだが、まあ生徒がこれを見て喜ぶんだったらまあ良いか,というわけで買ったのだが、レジで買った時に店員が

「抱いて帰りますかぁ?」

・・・と、この時,私は閉園間近のあたふたした時間に他のおみやげを買う事で気持ちに余裕がなく、急いでいたので適当な返事で

「あ、はい・・・。」

「・・・え?はっ?今なんて?・・・いや!いえいえいえ!!袋に入れてもって帰ります!」

・・・と・・・ハー、危ない瞬間だった(汗)

しかし・・・なんだか、ここには未だにロマン主義が残っているようで,少しは心が救われた様な感じだった。

 

 

2014.5.4