村田ピアノ音楽院

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スマホとホタル

 

スマホで何が最も便利かっていえば、なんたってGPS機能だ。

これでカーナビも知らない土地でも目的地に確実に行ける。

ついこの間、八王子に用があった帰りに、車で何でもホタルが生息している場所に、GPS機能を使って行ってみた。

全くもって簡単に行くことができ、十分楽しめた。

これはすごいことである。

スマホなんてバカにしていたけれど、これだけはすごいことだ。

さて、ホタルといえば、相模原では、とある公園で飼育繁殖している場所がある。

そこでは確かに夏、よく観れるのだが、これは正直、自然繁殖ではなく、単に放流しているにすぎきない。

それと比べると、この八王子付近のこの場所は完全に自然繁殖である。

昔はホタルなんて全然いなかった。

単純に河川が汚染されていたんだろう。

相模原ではホタルなんて自分の幼少の頃は縁がなかった。

それ以外にも幼少の頃には蒸気機関車も縁がなかった。

子供の頃、鉄道博物館に行って、すでに動くことのない蒸気機関車を見て、大きくて「すごいなあ」と思った程度で•••その後確か20代後半の時に生まれて初めて実際に走る蒸気機関車を北海道で見て、あまりの迫力に圧倒された思い出がある。

「これが蒸気機関車なのか•••」

まさに電気電車と違って、「生きている」という感じだった。

オートバイに関しても、詳しい人たちはわかるとは思うが、我々世代は、W1とか、マッハというバイクを知らない。

もちろん、RZ350は乗っていたので、これだけはよく知ってはいるが。

私の世代は実はホタルと蒸気機関車を知らない世代。

正直、私より古い人たちから見れば私が若い人たちをバカにするのと同じく、我々世代も何も知らない世代なのかもしれない。

唯一、私が古い習慣を受け継いでいるとしたら•••

それはおそらくピアノだろう。

これだけは蒸気機関車やバイクよりももっと古い。

古いものと最新の違いはなんだろう?

おそらくそれはアナログとデジタル。

デジタルは所詮、0と1でしか構成されていない、物事がはっきりした世界。

もちろん、必ず答えがある世界で、曖昧なことは一切ない。

あるのは0と1だけ。

はっきりしていて便利だけど、その代わり、返答はいかにも冷たいものを時々感じる。

今の世界、便利なものはなんでもデジタルでできている。

しかし、どんな時代になっても、人間がデジタル化することはあり得ない。

どんな時代であっても人間はヒューマティを求める動物だ。

だから時に人間はデジタルを拒否する時がある。

ピアノは実はアナログ楽器だから、表現はとても難しい。

ピアノの表現は本当にデータで表すことができないほどの、曖昧な世界だ。

データが曖昧なアナログだから、誰もが真似できるものではない。

でもそこに人間は憧れ、欲する。

デジタルにはない表現があるから、人間はそれにとてつもない魅力を感じるのだ。

しかし•••。

最近はそのピアノでさえ、それをデジタルのように演奏する人がかなり多い。

つまり•••0か1しかないような演奏だ。

確かに「デジタル演奏」だけあって、ミスは全くない(笑)。

おまけにテンポもデジタル時計の様に

ノールバートで正確だ。

しかし、なんか温かみがない。

曖昧とか中間とか、淡いとかいう、表現になかなかお目にかかれない。

いつからこんな世界になっちまったのか•••。

私は今回、X国の講座には前回と同じく、ノクターンやマズルカしか持っていかない。

普通だったらド派手な曲をもっていくのが普通だろう。

しかし、私はあることに気がついたのだ。

どんな曲でも、叙情性は絶対抜くべきではない。

叙情性がなくなれば、どんな迫力の曲だって、単なるやかましい演奏にしかならない。

それと同時にどれだけ叙情性を持って弾くことがいかに難しいことか。

人間が要求する音楽は叙情性抜きには構成は不可能である。

最後には人間はかならず「叙情性」を求めると。

その「叙情性」がつまり•••アナログの世界なのだ。

なぜならば•••叙情性=人間性=アナログだから。

今この時代にスマホとホタルを見れることは幸いなことだ。

どちらかしか持てない時代だとしても、おかしくはない。

これは幸いなことだ。

しかし•••。

デジタル技術の結集されたスマホであっても、残念ながらまだまだ未完成な分野もある。

例えばX国で•••

GPS機能を使って「美女 金髪 モデルのような」と検索しても、追っかける機能はない。

スマホもまだまだだなあ。

やっぱり最後にはアナログな人間の目が最強の検索アイテムとなる。

 

2015.6.22